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2017年5月8日(月)

明治学院非常勤、前期第四回目。

前回に続き年表に即して奴隷貿易と奴隷の歴史を辿った。起草した独立宣言に奴隷貿易を推進したイギリス国王を告発する条項を入れようとした(南部プランターの反対で削除)、のちの第三代大統領トーマス・ジェファソンは、自身も100人以上とも言われる奴隷を擁したプランテーションを経営する大農場主であり、サリー・ヘミングスという奴隷の女性との間に何人もの子供がいたとも言われている。偽善と見る学生もいたが、ぼくとしては、偽善を暴き立てるつもりはなく、その時代、あるいはアメリカという国の矛盾を体現した人物が、矛盾を露呈することを厭わずに、理想を掲げたところにむしろ魅力を感じる。

北部を中心に廃止の方向に向かっていた奴隷制の息を吹き返らせたのが、綿繰機の発明という技術革新であったというのも皮肉な話だ。綿花をほぐす時間が大幅に短縮されたのに対し、綿花の収穫には従来と同じ時間と労力がかかる。結果として、綿花を栽培するプランテーションではより多くの奴隷労働が求められることになった。技術革新が労働時間を減らすどころか、より過酷な労働環境を生み出すという、現代にも通じる問題であり、そのことを痛切に感じた学生も多かった。

独立後、制定された合衆国憲法では、奴隷の人口は自由人の5分の3として計算するよう定められていた。これは、人口比によって、議員数が振り分けられる下院で、対立し始めた南部と北部の勢力の均衡を保つための措置だった。これこそ、まさしく人間扱いされない奴隷を、必要な時だけ部分的に人間と見なす偽善である。さらに、人口比によらず、各州に2人の議員が振り分けられた上院では、新しい州が誕生するたびに、奴隷制として南部陣営に入るのか、自由州として北部に加わるのかが問題となり、南北の対立のなかで奴隷たちが振りまわされるという時代が続く。

19世紀初めに、イギリスでもアメリカでも、奴隷貿易は廃止されるが、それは奴隷制の廃止ではなかった。また、密貿易は続いており、闇貿易になった分、奴隷貿易は禁止される前よりも、より大規模に行わるようになったという説すらある。また、イギリスは奴隷貿易を取り締まる名目で、西アフリカ沿岸に軍艦を派遣し、その海域の制海権を握り、西アフリカの植民地化をすすめていく。三角貿易と資本蓄積の時代は終わり、本格的な植民地経営の時代が待ち構えていた。

授業の後半では、アフリカから連れ去られた人びとや、主人の都合で売りに出された奴隷たちが経験した競売台の悲惨について、家族がまとまって売られることはめったになかったこと、なかには思い余って子供を殺す母親もいたことなどを学び、アレックス・ヘイリー原作のテレビドラマ『ルーツ』の続きを見はじめた。来週は続きから。

國學院非常勤、前期第四回目。「1st Year English」は、不定詞の続き。「R&W」は、バラク・オバマ、2008年大統領選勝利演説を読んだ。

それは、学校や教会のまわりに、この国が今まで見たこともないような数で続いている列によって、今回こそは違うはずだ、彼らが声をあげることがその違いになりうるのだと信じているがゆえに、多くが人生で初めて、3時間も4時間も、待ち続けている人々によって、語られる答えである。

それは、若い人も年老いた人も、金持ちも貧乏な人も、民主党員も共和党員も、黒人、白人、ヒスパニック、アジア系、アメリカ先住民も、同性愛者も異性愛者も、障碍者も障碍のない人も--アメリカは単なる個人の集まりでも共和党支持者の多い州と民主党支持者の追い党の集まりでもないというメッセージを世界に発信したアメリカ人によって、語られる答えである。

私たちは今も、これからもずっと、アメリカ合衆国である。

口頭で語られる演説には、同じ内容の言いかえが多いことに注意を促した。また、最初の行の「列」が、投票を待つ列であることを指摘し、黒人の人たちが投票しにくい状況に追い込まれるような状況が現在でさえも続いていることを指摘した。

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