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2016年6月6日(月)

見知らぬ池にはまって、気がついたら、神さまに首根っこをつかまれ、「お前の本質はこの金のエレキテルか、銀のエレキテルか」と問い質され、「どちらでもありません。ひらげエレキテルです」と答えたら、「正直でよろしい」と金銀ひらげすべてもらった‥という夢を見たことにしよう。

明治学院非常勤「アメリカ研究」、前期第九回目。マンドリルマイケル・マッサー「アリ・ボンバイエ」を聞きながら、授業開始。この曲がもともとはアントニオ猪木ではなく、先日亡くなったモハメド・アリの入場曲であったことを説明し、人種差別と闘い、アフリカ系ボクサーの道を切り開いた偉大なボクサーであったアリの軌跡について語った(内容は、一昨日の日記参照)。

今回のテーマは、映画史に残る名作でありながら、クー・クラックス・クランを美化し、クラン再興のきっかけともなった問題作である、D・W・グリフィス監督の映画『国民の創生』(1915)。まずは、この映画のスゴさを理解してもらうために、リュミエール兄弟からはじまり、劇映画の誕生、『大列車強盗』(1903)へと続く初期の映画史を簡単にたどった。こうした歴史を経て編み出されたクローズアップクロスカッティングといったさまざまな映画手法を駆使して作られた大長編スペクタクル作品が、『国民の創生』である。グリフィスはこの作品と、翌年の『イントレランス』で、サイレント映画の可能性を極限まで追求した。

一方で、この作品が、南北戦争後のアメリカ南部を舞台に、人種差別的な南部白人の視点から描かれた、KKK賛美の映画であることは、強調しておかなければならない。この映画をきっかけとして、壊滅状態にあったKKKは息を吹き返し、第二次の黄金時代を迎えた。封切り当時から、この映画の人種差別的な内容は批判を集め、上映禁止などの動きもあった。ちなみに、『国民の創生』をはじめ、アメリカ映画史のターニング・ポイントとなった映画が、ことごとく「黒人」と関わりがあるのは、興味深い。初のトーキー作品は、アル・ジョルソンが黒塗り芸を披露する『ジャズ・シンガー』(1927)、初のカラー長編は南北戦争期のアメリカ南部を舞台とした『風と共に去りぬ』(1939)、『質屋』(1964)で厳しい映画の倫理基準「ヘイズ・コード」を破ってヌードになったのは、黒人女優だった。

登場人物の人間関係と、前半のストーリーを説明して、後半から見始める。今回は、南北戦争後の南部で、南部白人と北部白人/黒人/混血が対立を深めるなか、南部キャメロン家のベンと北部ストーンマン家のエルジーが愛を深め、戦争で兄を亡くしたマーガレット・キャメロンが、タッド・ストーンマンへの愛と北部に対する憎悪の間で揺れるところまで。来週は続きから。

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國學院非常勤、前期第九回目。『ジャズの誕生』をテキストとするリーディング2コマ。6限はディジー・ガレスピーの「ソルト・ピーナッツ」を聞きながら、授業開始。西アフリカのポリリズミックな音楽の話の続きで、「訓練を受けていない聞き手ですら、パワーやノリを感じることができるし、どういうわけか、リズムのとてつもない威力を構成する複雑な部分が互いにかみ合っていること気づくことができる」 分析するのは訓練された音楽家にも難しいが、全体として何か大きな力を生み出していることはシロウトにもわかる ― ここに、「言葉で説明するのは難しいが、存在を認識することは比較的簡単な」ジャズとの親近性が暗示されていることに気づくと、このテキストは断然面白くなる。話は、ジャズと西アフリカ音楽の比較へと進む。「比較すると、ジャズのリズムはかなりシンプルだ。私たちは長い道のりをやってきたが、明らかに追いついていないし、おそらくこれからも追いつくことはないだろう」 「追いつく」うんぬんが、ジャズがアフリカに、リズムの複雑さの点で、ということなのだということを補足。

7限は、チャールズ・ミンガス「ハイチの闘いの歌」を聞きながら、授業開始。ハイチ革命から逃れた主人たちとともに、アメリカに渡った奴隷たちの話から。「フランス人の主人たちがハイチ革命から逃げたので、1809年から1810年にかけて、3000人以上の奴隷がサン・ドミンゴからキューバ経由で到着した」 独立分詞構文の難しい文なので、少し時間をかけて説明する。テキストはさらに、渡米後の奴隷たちの話へ。「アフリカ人がニューオリンズで、自分たちを(そのなかに)見出した環境は、さまざまで、常に変化していた。トーマス・アシェは、1806年にニューオリンズの街を訪れたのだが、民族的出自の観点からその経済構造について論評している」 "national origin"が何を意味しているのか、"national"も "origin"も様々な意味があるので、ここだけでは決めがたい。この場合、「国家の起源」なんて訳してしまうと、まったくわからなくなる。こういうときは、ちょっと先を読むと、「ああ、何だこんなことか」と分かることが多い。

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