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2016年6月13日(月)

「三単現」って、麻雀の役っぽい。

Dw_griffiths_birth_of_a_nation

明治学院非常勤「アメリカ研究」、第十回目。前回に続き、D・W・グリフィス監督の映画『国民の創生』(1915)を見た。あらゆる技法を駆使してサイレント映画の可能性を極限まで追求した、映画史に残る傑作であると同時に、クー・クラックス・クランを美化し、クラン再興のきっかけともなった、人種差別的な内容を含む問題作でもある。講師としては、学生のメディア・リテラシーをどこまで引き出せるかが問われるところである。こうした作品を見るときには、いくつかのレベルで描写の妥当性を検討しなければならない。第一に、それが果たして事実なのか。南部降伏の調印式やリンカーン暗殺などのシーンを史実に忠実に描くことによって、他のシーン(黒人議員による議会の混乱など)も事実に基づくものであると思わせようとする意図が感じられる。第二に、事実にどのような解釈が与えられているか。白人と対等の立場を求める黒人の行動に対する否定的な解釈は、現在から見たらどうか。最後に、作品がだれにどんなメッセージを伝えることを意図して作られているか。映画のなかで人種差別が告発されていると考えた学生がいたが、そうしたシークエンスは、むしろ、白人の行為を正当化するためのものだということに注意すべきである。こうしたことを踏まえながら、次回は、最初期の黒人映画監督であるオスカー・ミショーを紹介し、『国民の創生』に対する黒人の側からの回答とも言うべきミショー監督の映画『ウィズイン・アワー・ゲイツ』(1920)を見ようと思う。

國學院非常勤、前期第十回目。『ジャズの誕生』をテキストとするリーディング2コマ。6限は、女性歌手ジュアニタ・ブルックスの葬儀を収録した動画を見ながら、授業開始。ニューオリンズの音楽文化における葬式の重要性について、セカンド・ラインという言葉などを紹介しつつ、解説した。テキストの内容は、「例えば、ニューオリンズでは、古株のミュージシャンのなかには、いまだに葬式からの帰り道、<ディドゥント・ヒー・ランブル>を演奏する人たちがいる。ジャズは伝統的に楽譜上は4分の4拍子、もしくは2拍子で近似をとる ― 実際にはもっと複雑だが ― そして、このマーチのリズムが基本である。ニューオリンズのブラスバンドの音楽のなかに、それをはっきりと聞くことができる。しかし、何か新しいものが加えられている ― その音楽はスウィングするのだ」

7限は、2014年のマルディ・グラの映像を見ながら、授業開始。マルディグラ・インディアンブラック・セミノールに話はおよび、やや脱線ぎみになりながら、テキストの内容へ。アイルランド人作家トーマス・アシェが、当時のニューオリンズの経済を論評した文章からの引用。「商業は大部分、4つの階級によって取り仕切られていた。ヴァージニア人とケンタッキー人は仲介業や斡旋業を支配し、スコットランド人やアイルランド人は一定水準以上の輸出入業を手中に収めていた。フランス人は倉庫や貯蔵所を経営し、スペイン人は雑貨商、cabants (cabaretの誤植か?)、最下層の居酒屋といった小規模の小売業を営んでいる。黒人、自由黒人もまた、さらに小さな店を経営し、品物や果物を売っている」 ニューオリンズの経済を民族ごとに4つに階層化し、さらにその下に、おそらく現在でいうインフォーマル・セクターにあたる黒人の店を置いている。ここを読めば、前回出てきた"national origin"は「国家の起源」などではなく、「民族的出自」と訳すべきなのがわかる。抽象的な言葉が何のことを言っているのかわからない場合は、少し先を読んでみるというのが、読書のテクニックのひとつだ。

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