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2016年2月3日(水)

鬼平ハンカチ王。

ポール・カントナーと同じ日(先月28日)、ジェファーソン・エアプレインの結成時メンバー(ファースト・アルバムのみの参加)だった女性シンガー=シグネ・アンダーソンが亡くなっていた。ご冥福をお祈りします。

James_baldwin

ジェイムズ・ボールドウィンの戯曲『白人へのブルース』(Blues for Mister Charlie、1964、橋本福夫訳、新潮社、1966)を読み終わった。

南部の田舎町で、北部帰りの黒人青年リチャードが殺される。容疑者として、愛人にしていた黒人女性の夫を殺害したこともある白人商店主ライル・ブリテンが浮上する。リチャード殺害を知った黒人たちは、悲しみ、憤る。リチャードの父で神父のメリディアン・ヘンリーは、息子の死に向かい合うことで、それまでの穏健な姿勢に疑問を抱く。リチャードの恋人で、リチャードの不在中、メリディアンとも恋愛関係にあったジュニアータは、黒人女性が母親の役割を担わされてきたことに思い至る。

一方、白人コミュニティはリチャードの「非常識」をなじり、彼と黒人の運動によって、町の平和が乱されたとして、ライルの無罪を求める。ただ一人、地方新聞の編集長バーネル・ジェイムズのみが、ライルの友人でありながら、黒人コミュニティと白人コミュニティを行き来し、真実に迫ろうとする。彼自身、恋愛関係にあった黒人女性を失ったことを悔いており、白人コミュニティから白い目で見られながらも、黒人の側に立つことをやめようとはしない。

最終幕、ライルの裁判のシーンでは、証言台にのぼる人物の過去がフラッシュバック的に挿入され、カラー・ラインによって隔てられながらも、もっとも近い隣人として付き合ってきた黒人と白人の関係が、さまざまな角度から明らかにされる。無罪を勝ち取ったライルは、裁判所を出たところでメリディアンに詰め寄られ、リチャード殺害を告白する。彼は、白人である自分と妻ジョゼフィーンに対するリチャードの態度が許せなかったのだ。

エメット・ティル
事件に刺激を受けて書かれた作品だが、黒人青年の殺害という理不尽な事件を、非情なモンスターによる蛮行として断罪するのではなく、善意ある人びとが憎悪や恐怖に飲み込まれた結果として描く。「しかし、わたしはそう信じているのだが、すべての人間が兄弟であるとするならば、われわれにはそういうみじめな人間をも理解しようと努力してみる義務がある」(ボールドウィンによる覚書、5)。怒りを抑えた筆致が、さすが、ボールドウィン。

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