無料ブログはココログ

« 2016年1月3日(日) | トップページ | 2016年1月5日(火) »

2016年1月4日(月)

公の大やけど お妃の置き先

明治学院非常勤「アメリカ研究」、後期第十四回目。前回に引き続き、ソウル・ミュージックについて。オーティス・レディング「アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー・トゥー・ロング」を聞きながら、授業開始。前回取り上げた「ゴスペル回帰」と並んで、ソウル・ミュージックを特徴づける要素である「白人との共同作業」について話した。アメリカの白人と黒人は、南部を中心に共通の音楽的母胎を持っている。とはいえ、人的な交流はほとんどなく、人種を超えた共演が自由に行われていたわけではない。ソウル・ミュージックには、こうした人種の壁を突き崩す人種統合の音楽という側面がある。

まず、サン・レコードサム・フィリップスアトランティック・レコードアーメット・アーティガンスタックス・レコードジム・スチュアートエステル・アクストンといった黒人音楽に理解のある経営者とレコード会社が現れたことがあげられる。これらの経営者は、黒人音楽の魅力に気づいていたし、ときには黒人音楽マニアの場合もあった。だからといって、彼らが黒人ミュージシャンの搾取と無縁だったわけではない。その「家族的経営」に、家父長制的な恩着せがましさを見ることもできるだろう。しかし、彼らが人種統合の音楽としてのソウル・ミュージック誕生において、大きな役割を果たしたことは否定できない。

それにも増して重要なのは、若い白人ミュージシャンが黒人音楽の世界に飛び込んでいったことである。60年代スタックス録音のほとんどでバックバンドを務めたブッカー・T&MG's は、ギターリストとベーシストが白人だったし、マッスル・ショールズのスタジオ・ミュージシャンはほとんどが白人だった。ラジオなどを通じて、黒人音楽に親しんだ彼らは、「ナッシュビルを目指して田舎道をまっすぐ行く代わりに、一回左折してブルースにたどり着いたカントリーボーイたち」(『アトランティック・レコード物語』、168)だった。そんな南部出身の若い白人ミュージシャンのなかから、人種を超えた新たな意識が生まれてくる。マッスル・ショールズなどでソングライターとして活躍し、優れたシンガーでもあるダン・ペンのファースト・ソロ・アルバム『ノー・バディーズ・フール』に収録された前衛的作品「スキン」は、そんな意識の変化を反映している。

たくさんの本が人間について書いている
黒と白について 上と下の人間について
だけど、要は俺とあんたのことなのさ
俺たちはみんな豚だよ 黒い豚に
白い豚
それなのに同じ泥穴は掘れない 
そんな風に考えている

しかし、こうした共同関係は、60年代後半以降、公民権運動が先鋭化するなかで崩れていった。なかでも、決定的だったのは、1968年、マーティン・ルーサー・キングがサザン・ソウルの中心地のひとつであるメンフィスで殺されたことだ。MG'sの白人ベーシスト=ドナルド・ダック・ダンは、キング師暗殺の日、黒人ソングライターのアイザック・ヘイズが、ダンに近づいただけで警官に銃を向けられたことを覚えている(『スウィート・ソウル・ミュージック』、410)。その後、スタックスは黒人経営者アル・ベルのもとで、黒人の美学を強調するレーベルに姿を変え、1972年には、ワッツ暴動7周年を記念したイベント=ワッツタックスを成功に導いている。そこに白人スタッフの居場所はなかった。映像は、映画『ワッツタックス』から、ジェシー・ジャクソンの演説シーン。

最後に、レディ・ソウルの代表として、アレサ・フランクリン、ファンクを生み出した偉大な「ソウルの帝王」=ジェイムズ・ブラウンを紹介して、ソウル・ミュージックについての話を終えた。アレサは映画『ブルース・ブラザース』(1980)から、マット・ギター・マーフィー演じるソウルフード屋の妻役で、「シンク」を歌うシーン。ジェイムズ・ブラウンは、1966年パリでのライブを見た。

続いて、40年代以降の黒人文学の話。リチャード・ライトアメリカの息子』(1940)のストーリーに、みんなドン引き・・・というところで、タイムアウト。

« 2016年1月3日(日) | トップページ | 2016年1月5日(火) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73760/63079149

この記事へのトラックバック一覧です: 2016年1月4日(月):

« 2016年1月3日(日) | トップページ | 2016年1月5日(火) »

最近のトラックバック

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30