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2015年12月20日(日)

多民族研究学会(MESA)全国大会@西南学院大学、第二日目。若手のワークショップで、4人の若手研究者が発表。ひらげは司会を担当した。

京都大学非常勤講師の柳楽有里さんが取り上げたグローリア・ネイラーの小説『リンデン・ヒルズ』(1985)は、ゲットーを舞台とした自然主義的な小説『ザ・ウーマン・オヴ・ブルースター・プレイス』(1982)から出発した作者が、作風をゴシック小説的なものに変え、黒人中産階級の暮らす高級住宅街の物質主義や精神的腐敗を描いた作品。複眼的視点から社会を描くことによって、黒人社会内部に存在する女性やレズビアンへの差別をも浮かび上がらせた。発表者は、これを手始めに、『ママ・デイ』(1988)、『ベイリーズ・カフェ』(1992)と続くネイラーの四部作における発展を追うことになる。

明治大学の院生・佐藤将太さんは、スパイク・リー監督『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)と、オクタヴィア・スペンサー監督『フルートベール駅で』(2013)という2つの映画を中心に、映画に描かれた警官の黒人に対する暴力について語った。現実に置きている警察の暴力を明らかにし、黒人映画において警察の暴力がどのように描かれてきたかをまとめたあと、社会状況、歴史に位置づけながら、2本の映画の特徴を明らかにした。フロアからの質問にもあったようにもっと作品そのものにテーマを絞ってもよかったような気もするが、『フルートベール駅で』という作品自体、見たことがなかったので、大変勉強になった。

九州大学・院生の河野世莉奈さんは、トニ・モリソンのデビュー作『青い眼が欲しい』(1970)を、所有欲と自己肯定肯定欲という観点から精緻に読み解いた発表。白人の所有するモノを獲得することで自己実現を図ろうとするピコーラやポーリンの所有欲に対して、「感じること」に重きを置こうとするクローディアの生き方を対比することに対して、ピコーラたちももともとは持っていたはずのそうした感受性のなかに、新たな自己肯定の可能性を見ようとするもの。この作品の読み方としては、しごく真っ当な、まっすぐな姿勢だと思う。

同じく九州大学・院生の吉田希依さんも、トニ・モリソンがテーマ。モリソンが修士論文として残したヴァージニア・ウルフ論をきっかけに、『ダロウウェイ夫人』の主人公クラリッサと、モリソンの『スーラ』(1973)の主人公スーラの疎外を比較検討するもの。非常に意欲的で、ユニークなテーマだが、フロアからの意見にもあったように、どうせならモリソンの修士論文の内容をもう少し明らかにしてほしかった気はする。のちの評論『白さと想像力』(1992)とのつながりなども見えてくると、とてつもなく面白いことになる気がする。

どれも素晴らしい内容で、フロアから諸先生方の貴重なアドバイスが飛び交う、闊達なワークショップとなった。お疲れさまでした。

学会終了後、N先生と天神に博多のラーメンを食べに行った。

Daikoku

『大黒商店』天神本店。背油が浮いているタイプのラーメンはあまり好きではないのだが、ここのはあっさりしていて、食べやすい。特筆すべきは、面の細さ、博多ラーメンが極細なのは常識だが、それにしても細い。関東ではここまで細いのにはお目にかかれない。それでいて、しっかりコシがあって、プチプチした食感がたまらない。

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