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2015年10月20日(火)

老人魚の館。

國學院非常勤、後期第四回目。『ジャズの誕生』をテキストとするリーディング4コマ。第一次大戦で黒人部隊の軍楽隊を務めたジム・ユーロップ楽団の演奏を聞きながら、授業開始。教科書の内容は、黒人がヨーロッパの楽器を使って、行進曲を演奏していく背景には、白人文化に入りこんで、生きた証を残したいという願望があったこと、ナポレオン時代のフランスで人気がピークに達した軍楽隊の音楽が、アメリカにも波及して、パレードやコンサートが人気の行楽(アウトドア・スポーツ)になったこと。白人文化に同化したいという願望を説明するため、デュボイスと黒人の二重意識について言及。また、"South" "Civil War"といった言葉が、頭文字が大文字になると固有名詞化して、(アメリカの文脈では)「(アメリカ)南部」「南北戦争」を表すことを指摘した。

日本女子大非常勤「米文学随筆論文演習」、後期第五回目。ハリエット・ジェイコブズの奴隷体験記を読む。奴隷主ドクター・フリントのセクハラに苦しむリンダ(ジェイコブズの仮名)。フリントは嫉妬する女主人との仲を取り持ってやるなどと言って、彼女に接近しようとする。事実を知ったら激怒するであろう祖母に打ち明けることもできず、リンダは一人悩む。そんななか、幼ななじみの自由黒人の男性に恋をするが・・・後期から参加した学生がきっちりまとめてくるのが刺激となったのか、他の学生もそれなりに読みこんでくるようになった。むしろ、こちらのほうが読みが足りず、たじたじになる場面も。聖書とバイロンからの引用を調べておかなかったのは迂闊だったが、学生が携帯で即座に調べたのには感心した。これは気が抜けない。

ちなみに聖書からの引用は、マタイ伝23章27節「内は死人の骨と、さまざまな穢れにて満つ」外面は美しく取り繕った偽善的な立法学者、パリサイ人(ファリサイ派)の内面が穢れに満ちていることを、白く塗られた墓に喩えたところ。バイロンからの引用は、数奇な運命を辿ったイタリアの詩人トルクァート・タッソの悲劇を描いた詩『タッソー哀歌』(The Lament of Tasso, 1817)4章から。かなり古いが、昭和11(1936)年の『バイロン全集』(95年に復刻)所収の丸川仁夫訳から引用すると、

こゝにては、笑ひは欣快に非ず、思想は心に非ず
言葉は言語に非ず、人さへも人類には非ず、
呪ひに答ふるは叫び、打擲に答ふるは叫喚
各々その孤別なる地獄の中に責め苛まる−

精神を病み、幽閉されたタッソーが、孤独な身の上を嘆くところ・・・らしい(バイロンの専門家の方、間違っていたら、ご指摘ください)。次回の授業で、改めて紹介しよう。

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