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2015年6月15日(月)

飼い猫に「マダナイ」という名前をつける。

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明治学院非常勤、前期第十回目。ほんとうは前回のD・W・グリフィス監督の映画『国民の創生』(1915)に対する黒人側からの回答として、オスカー・ミショー監督の『ウィズイン・アワー・ゲイツ』(1920)を見る予定だったのだが、DVDを忘れてしまい、急遽、19世紀までのアフリカ人アメリカ人の文学をやることに。期待していた人、ごめんなさい。映画は次回やります。

ますは、アフリカ系アメリカ人として最初に詩集を出版した女性フィリス・ホイートリー。1761年、7~8歳のころに西アフリカから連れ去られたフィリスは、ボストンの富裕な商人ジョン・ホイートリー氏に買い取られ、読み書きをはじめ、聖書、イギリス文学、ラテン文学などの教育を受ける。10代で詩を書き始めるが、黒人奴隷が詩を書くという話は当初なかなか信じてもらえず、政財界、宗教界のお偉方がそろってフィリスに面接してようやく、彼女の詩才を認めることになった。中間航路を経験した彼女が、奴隷制によって「文明社会」に導かれたことを感謝していたとは到底思えない。にもかかわらず、彼女の詩からは、白人社会に対する憎しみや怒りといったものは感じられない。そうした感情があったとしても、表現することは許されなかっただろう。しかし、厳格なルールにのっとって詩を書く彼女の存在そのものが、黒人の知性を証明している。彼女の肖像画には、「考え、書く」黒人という「ありえない存在」に対する当時の白人の驚きが表現されている。

続いて、代表的な奴隷体験記を紹介。まずは、オラウダ・イクイアーノの『イクイアーノの生涯の興味深い話』(1789)[日本語訳]。年代的にはのちの奴隷体験記の先駆となる作品だが、南部の農場での閉鎖された暮らしが描かれることの多いのちの作品と比べると、船長の奴隷として(のちには解放された船員として)世界を廻ったイクイアーノの物語は特異だ。この分野を代表する作品としてまずあげるべきなのが、フレデリック・ダグラス自伝(1845)[日本語訳]だろう。読み書きを修得し、残酷な奴隷主に立ち向かい、人間として、「男」として成長していく過程を中心に据えた内容は、ある種、この分野の原型とも言うべきものだろう。女性による体験記として、ハリエット・ジェイコブズの『ある奴隷少女に起こった出来事』[日本語訳(1)][日本語訳(2)]がある。当時主流だった感傷小説を下敷きにしながら、奴隷主によるセクシャル・ハラスメントという女性特有の問題に焦点を当てて、自らの体験を語る。感傷小説の主人公とは違い、ハッピーエンドは結婚ではなく、逃亡である。

最後に、トーマス・ジェファソンと奴隷の女性の間に生まれた美しい娘クローテルとアルシーサを主人公としたウィリアム・ウェルズ・ブラウンの『クローテル:大統領の娘』[日本語訳]を紹介した。短編小説や詩を含む同時代の様々なテキストをコラージュすることによって、奴隷制の問題を浮かび上がらせたアフリカ系アメリカ人による初の小説。最後、クローテルが父ジェファーソンは政務を行ったであろう国会議事堂の目の前で、ポトマック川に身を投げて死ぬラストシーンは衝撃的である。


6月11日の新曲に歌詞をつけて歌ってみた。すばらしくロマンチックな曲。

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