無料ブログはココログ

« 2014年11月4日(火) | トップページ | 2014年11月10日(月) »

2014年11月7日(金)

South_southener

ラルフ・E・マクギル南部と南部人 変りゆくアメリカ』(The South and the Southerner、1963、河田君子訳、弘文社、1966)を読み終わった。公民権運動最盛期に書かれた、リベラルな南部人ジャーナリストによるアメリカ南部論。個人的な体験をふまえながら、南部のさまざまな面に焦点をあてられ、それらが悉く1954年5月17日、公教育における人種差別を違憲とする最高裁判決(ブラウン判決)へとつながっていく。

著者がローマで書店の店主に言ったように、「ひと口に南部といってもいささか広く、一様ではない」(3)。それは、南部社会に存在する階級、人種、ジェンダーといった差異を指していると同時に、個人が抱え込んだ矛盾した傾向のことでもある。一見、頑迷な人種主義者のなかにも「南部の良心」は存在する。だからこそ、黒人の排除という前提を崩せない人たちは、黒人の側からの異議申し立てに慌てふためき、破綻した論理や暴力のなかに逃げ込むのだ。

自らの利益しか頭にない政治家たちがこうした葛藤を利用する。また、貧しい黒人と白人がいがみ合っている限り、南部は北部の企業にとって、安価で不平を言わない、魅力的な労働力の供給地となる。しかし、それはいわば南部を北部の植民地にすることに等しい。教育の機会から黒人を排除することは、南部全体の教育の停滞へとつながっていく。

一人一人の南部人は善良で、素朴で、諧謔精神に満ちた魅力的な人間であり、著者はそうした人びとを愛している。そして、南部が変わりつつあり、変化のなかから南部人本来の善良さが姿を見せることを信じている。そういう著者自身が魅力的な「南部人」だったのだろう。

« 2014年11月4日(火) | トップページ | 2014年11月10日(月) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73760/60612538

この記事へのトラックバック一覧です: 2014年11月7日(金):

« 2014年11月4日(火) | トップページ | 2014年11月10日(月) »

最近のトラックバック

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31