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2014年11月10日(月)

体重が71キロをきりました。ダイエット順調。

明治学院非常勤、後期第五回目。デューク・エリントン楽団「ムーチ」を聞きながら、ハーレム・ルネサンスについて復習。少々図式的に捉えれば、ハーレム・ルネサンスという運動は、「野蛮」「未開」な黒人表現を求める白人パトロン、「白人並」の洗練を求める黒人ブルジョワジー、黒人フォークロアの発掘を志した若い黒人芸術家たちという三者のせめぎ合いのなかで動いていた。三者は別々に存在していたわけではなく、ひとつの作品、ひとりの人物のなかにも共存しうる。コットン・クラブで白人観客の期待に応えながら、黒人フォークロアとしてのジャズを洗練されたオーケストラレイションに再構築したデューク・エリントンは、まさにハーレム・ルネサンスの三つのベクトルを内包した存在だったと言えるかもしれない。

こうしたことを踏まえながら、今日はハーレム・ルネサンス期の文学へ。ハーレム・ルネサンスを彩った作家は数知れないので、ぼくの好きな作家を三人取りあげる。ジーン・トゥーマーラングストン・ヒューズゾラ・ニール・ハーストン。三人ともある意味で、ハーレム・ルネサンスの作家と呼ぶには抵抗があるかもしれない。トゥーマーはハーレムの喧噪とは無縁だったし、ヒューズは67年に亡くなるまでアフリカ系アメリカ人を代表する詩人であり続けた。ハーストンにしても、ハーレム・ルネサンスというよりも、アリス・ウォーカートニ・モリソンなど黒人女性作家の先駆者として取りあげられることのほうが多い。にもかかわらず、三人はこの運動のある部分を体現している。フォークロアの再評価、個人の視点、ハーストンに関しては、饒舌な華やかさみたいな部分もある。

まずは、ジーン・トゥーマーの『砂糖きび』を紹介。この作品の素晴らしさは曰く言い難くて困ってしまう。愛するものが消えていくことの切なさのようなものなのだが、そう言ってしまうとあまりにも陳腐だ。ここに描かれている人たちは、自分たちの生活がなくなっていくという自覚はないし、そんなことでめそめそもしていない。しかし、それを見ているトゥーマーは死にゆくものの宿命を思い、メランコリーに沈んでいる。なくなっていくのは直接的には黒人民衆の暮らしということなのだが、すべてのものがいつか消えゆく運命にあるという意味ではもっと普遍的なものだ。そういうことは授業ではあまり説明できなかった。とにかく、読んで欲しい。ぼくはこれを読みながらお酒を飲むと泥酔する。

そこから、アレイン・ロックチャールズ・S・ジョンソンらちょっと上の世代の、黒人ブルジョワジーに片足突っ込んだインテリたちの黒人文化論を紹介。彼らは黒人が主体的な存在であることを示すために、黒人フォークロアを使うことを推奨した。しかし、黒人フォークロアが評価されるためには(誰に?白人に?)そのままの粗野な形ではなく、洗練された表現を獲得しなければならない。彼らは黒人芸術家はその新しい表現で、黒人の評価を高めることに貢献すべきだと考えた。こうした見方は、フォークロアをもとに自分たちの表現を求めていた若い黒人芸術家には、教条主義的なお節介に見えたことだろう。

ヒューズの若き日のエッセイ「黒人芸術家と人種の山」は、「白人に評価される黒人表現を求めよ」というインテリ黒人ブルジョワジーに対する若い芸術家の違和感を余すところなく表現している。「白人に気に入られれば、うれしい。しかし、気に入られなくても、それは問題ではない」と断じ、自分たち黒人の姿を美しい面も醜い面も描いていこうと宣言する。温厚なイメージのヒューズだが、ここでの姿勢はとてもラディカルだ。

そんなヒューズの詩「黒人は多くの川について語る」をとりあげ、アフリカ系アメリカ人の歴史において「川」が持つ二つの意味を考える。ヒューズはコミュニティを離れ自由を求めて「川を越える」側ではなく、コミュニティにとどまり「川によりそって」生きる側を代表している。詩のなかで、川は詩人の血管となり、魂となる。ヒューズにとって、黒人であることはコミュニティに留まることであり、それは個人の外にあって奉仕を要求するものというよりも、個人のアイデンティティの一部だったのである。

つづいて、名もない個人の視点から書かれたヒューズの詩「メリー・ゴーラウンド」を紹介したところで、タイムアウト。次回はハーストンの話から。

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