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2014年10月13日(月)

「本日の授業は四次元までとします」・・・えっ。

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大森一輝『アフリカ系アメリカ人という困難 奴隷解放後の黒人知識人と「人種」』(彩流社、2014)を読み終わった。南北戦争後のアフリカ系アメリカ人エリートのなかには、人種というカテゴリーを無視することで、人種差別を乗り越えられると考える人びとがいた。こうした「カラー・ブラインド主義」は善意から生まれたものだったが、少なくとも貧困層にとっては現状に即したものではなかった。人種が根拠のない作られたカテゴリーであることは確かである。にもかかわらず、現実には人種差別は残り、多くのアフリカ系アメリカ人が「黒人」であるがゆえに、苦しい生活を余儀なくされている。そんななかで、人種だけを無視したところで事態は改善しないどころか、むしろ悪化する。「カラー・ブラインド主義」は、人種を基盤としたあらゆる活動 ― コミュニティを基盤とした相互扶助を含む ― に反対したウィリアム・モンロー・トロッターといった一見「ラディカル」な人物を経て、シェルビー・スティールに代表される現代の保守派のアフリカ系アメリカ人に受け継がれている。彼らに共通しているのは、自己責任を強調し、貧困層を切り捨てる新自由主義的な姿勢である。人種は存在しないのだから、あとは個人の問題だというわけだ。黒人保守派はマーチン・ルーサー・キングが人種に目をつぶる「カラー・ブラインド主義者」であったと強弁して、アファーマティヴ・アクションを撤廃しようとする。歴史を見直すならむしろ、ブッカー・T・ワシントンの言う「自助努力」が相互扶助と結びついていたことを再認識すべきだろう。

非常に興味深い内容だった。

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明治学院非常勤、後期第2回目。大森さんの本を読んだ後では図式的にすぎる気もしたが、ブッカー・T・ワシントンとW・E・B・デュボイスを比較しながら、20世紀初頭のアフリカ系アメリカ人指導者たちの動きを概説した。政治的権利の獲得よりも、職業教育による自立を優先すべきだとして、自ら校長を務めるタスキーギ学院に白人パトロンの寄付を集めたワシントン。方や、権利の追求を棚あげにはできないとして、「才能ある十分の一」に専門教育を施すべきだとしたデュボイス。しかし、ワシントンは名前を明かさずに黒人の権利を求める運動を支援していたし、デュボイスは失業者が町にあふれた1930年代には職業教育の重要性を強調した。リアぺを見ると、年々ワシントンの主張に共鳴する学生が増えている気がする。長い不景気ゆえか。

後半で、アフリカ系アメリカ人の「二重意識」などデュボイスの思想、ナイアガラ運動から全米国人地位向上委員会(NAACP)の結成へという公民権運動の流れを辿った。

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