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2014年7月7日(月)

マッサージは何の味?

明治学院非常勤、前期第十三回目。アフリカ系アメリカ人の音楽・芸能、前回のスピリチュアルに続き、奴隷制時代の音楽としてワークソング(労働歌)を取りあげた。過酷な労働に耐え、仕事の能率を上げるために、奴隷たちは歌のリズムにのって働いた。リーダーの歌に他の人たちが答えることで、仕事のタイミングを合わせるコール・アンド・レスポンスの形式は、世界各地の労働歌に見られるものだが、とりわけアフリカ系の音楽に顕著な特徴である。奴隷解放後、ワークソングは刑務所のなかで受け継がれてきた。仕事を求めて各地を放浪するアフリカ系アメリカ人は、「放浪罪」など些細な罪で拘留され、刑務所から農場や建設現場などに労働力として貸し出された。チェイン・ギャングたちはワークソングを歌いながら、過酷な労働に耐えた。

もうひとつ、奴隷制時代の「芸能」として、ケイクウォークについて説明。ケイクウォークは奴隷所有者が奴隷たちにダンスを踊らせ、いちばん上手く踊れたものに賞品としてケーキを授けたことに由来すると言われている。その踊りは、舞踏会で踊る白人の気取った動きをパロディ化したものだと言われるが、白人たちは自分たちがパロディ化されていることを知ってか知らずか、「黒人たちの奇妙な踊り」に夢中になった。ケイクウォークは大流行し、アメリカを代表する芸能文化と言われるまでになった。その裏には、白人をパロディ化した黒人の踊りを、知らずにパロディ化する白人という皮肉な構図がある。

後半はミンストレル・ショーについて。ミンストレル・ショーは、(もともとは白人の)芸人が顔を黒く塗って、黒人をバカにした演技をする芸能のこと。なかなか想像がつかないかもしれないが、19世紀アメリカのショービズにおいて、メインストリームの重要な一角をなす演目だった。トーマス・D・ライスが巡業先で見た黒人馬丁の踊りをヒントに考案した「ジム・クロウ踊り」に端を発するとされる黒塗り芸は、やがてダン・エメットヴァージニア・ミンストレルズE・P・クリスティクリスティ・ミンストレルズといったミンストレル劇団によって流行の演目になり、その形式を整えていく。

ミンストレルはあまり黒人を見たことのない北部白人向けの演目だった。南北戦争後、北部白人のなかに解放された黒人に対する興味が高まるに伴って、ミンストレルの需要も高まった。そんななかで、本物の黒人がミンストレルに参入し、多くの劇団が「正真正銘の」黒人を擁していることを売り物にしていく。当時既に混血がすすんでいたため、黒人芸人たちのなかには顔の色が比較的薄いものもおり、彼らは黒人でありながら黒塗りのメイクをすることを余儀なくされた。黒人芸人にとって、自らのステレオタイプを演じることは、屈辱であったに違いない。それにも関わらず、彼らがミンストレルに活動の場を求めたのは、もちろん、他に成功を手にするチャンスがなかったということがある。

しかし、一方、こうしたことも考えられる。黒人が顔を黒く塗らなければならないとしたら、その姿は本来の黒人の姿ではないということである。ミンストレルにおいて中心的な役割を果たした新移民(アイルランド系やユダヤ系)は、顔を黒く塗ることで、自分たちが「黒人ではない」ことを逆説的に示したという。だとするならば、黒人芸人も顔を黒く塗ることで、そのメイクが本来の自分ではないこと、それが自分の「演技」という能力であることを示そうとしていたとは言えないだろうか。ミンストレルを引き継いだ黒塗り芸で一世を風靡した黒人芸人バート・ウィリアムズは、カリブ海の出身で普段は南部の黒人方言を使うことはなかった。また、白人の先祖を持ち、薄い肌の色を隠すように黒塗りのメイクをした。つまり、ステージの上の間抜けな「黒人」はウィリアムズの演技であり、彼本来の姿ではなかったのである。もちろん、そのことを理解した白人の観客がどれほどいたかは、わからないが。

最後にブルースの話に入り、ブルーノート音階について説明したところで、タイムアップ。

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