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2014年6月16日(月)

リキッド【liquid】
①液体。
②ヘア-リキッドの略。液体整髪料の総称。
③ドッキリの逆さ言葉。

明治学院非常勤、今期第十回目。映画『国民の創生』(The Birth of a Nation、1915)を見る。『国民の創生』は、巨匠D・W・グリフィスが映画の製作テクニックを駆使し、サイレント映画の可能性を極限まで追求した傑作である。出演する女性の可憐さ、ハラハラドキドキの展開など、観衆を楽しませるエンターテイメントとして考え抜かれている。

同時に、この映画がKKKを賛美し、黒人や混血を白人を迫害する野蛮な存在として描く人種差別的な内容を持つということも忘れてはならない。描かれている内容が史実に反しているということ以前に、白人=秩序、黒人=混乱であり、白人が秩序を持って臨めば、臆病な黒人はクモの子を散らすように逃げ出すという図式、白人は南部と北部の怨讐を超えて団結し、「アーリア人の生得権」を取り戻すために戦わなければならないというナチズムに通じる人種主義が顕著だ。

アメリカの人種差別と直接の関係がないと思っている私たち(実際は無関係とはいえないかもしれないのだが)は、こうした背景を括弧に入れて、グリフィスのエンターテイメントを楽しむことができるかもしれない。しかし、差別と偏見の対象となったアフリカ系アメリカ人は、どうだろう。この映画を純粋にエンターテイメントとして楽しみ、グリフィスの手法を賞賛することができるだろうか。

グリフィスが開発した手法の卓越を認めながら、この映画を楽しめないアフリカ系アメリカ人はどうしたらよいか。グリフィスの手法を用いて、自分たちの視点から語る映画をつくればいい。しかし、ことはそう簡単ではない。巨匠グリフィスは大きな映画会社から潤沢な資金とスタッフを与えられ、映像上の実験を思うがままに試すことができた。巨匠であることを抜きにしても、グリフィスは白人である。一介の黒人「映画監督」に投資するものはいなかっただろう。

それでも、あきらめずに映画製作にのり出したアフリカ系アメリカ人がいる。オスカー・ミショーである。ミショーは自ら映画会社を設立し、資金集めから、製作、プロモーションまで自らの手で行った。そうして世に送り出されたのは、グリフィスとは逆の側から人種差別社会を描いた作品だった。次回は、ミショーの『ウィズイン・アワ・ゲイツ』(Within Our Gates、1920)を見たいと思う。

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