無料ブログはココログ

« 2014年4月27日(日) | トップページ | 2014年4月29日(火) »

2014年4月28日(月)

わたし貧苦のサウスポ〜♪

Slavetreatment

明治学院非常勤、前期第四回目。年表を見ながら、植民地時代〜独立前後のアメリカにおける奴隷制の歴史をたどる。前回、メイフラワー号に乗ってアメリカに到着したいわいるピルグリム・ファーザーズよりも前に、アフリカ人奴隷が現在のヴァージニア州ジェームズタウンに陸揚げされていたこと、各植民地に開かれた議会における「民主的な」手続きを経て奴隷制が合法化されていったこと、奴隷の労働力が植民地経営に欠かせない要素となっていったこと、そんななかでもボストン虐殺事件で民衆の先頭に立ったクリスパス・アタックスのように積極的に歴史に関わった黒人がいたことなどについて話した。

やがて独立戦争が始まると、イギリス総督ダンモア卿は、イギリス軍に参加して戦ったすべての奴隷に自由を与えると布告(このとき解放された奴隷が、のちにイギリスにおける黒人貧困層として問題になり、シエラ・レオネ植民地などに送り込まれる)。これに対抗して、独立派のジョージ・ワシントンも、自由黒人に限り、軍への徴募を認めた。独立のために戦った黒人について、『アンクル・トムの小屋』のハリエット・ビーチャー・ストウは、「自分たちを奴隷にした国」のために「発揮された勇敢さは特別の美しさと深さを持っている」と言っている。しかし、のちの歴史のなかで、黒人にとって戦争は常に「アメリカ人」であることを証明する機会であり、勇敢に戦った黒人兵の期待はその都度、裏切られることになった。「あなたがたは白人のためには血を流すのに自分たちのためには血を流さないのか」と言ったマルコムX、ベトナム戦争に反対を表明したマーティン・ルーサー・キングのことを考えると、ストウの発言はあまりにもきれいごとすぎるようにも思われる。

独立戦争が自由のための戦争であるという意識もあって、アメリカの著名人のなかにはトーマス・ペインベンジャミン・フランクリンのように奴隷制反対を表明するものもいた。のちに第三代大統領となるトーマス・ジェファーソンもその一人である。独立宣言の起草に関わったジェファーソンは、そこに奴隷貿易を奨励したとしてイギリス国王ジョージ三世を非難する条文を入れようとしたが、保守派の反対に会い、断念している。しかし、ジェファーソン自身、80人とも100人とも言われる奴隷を所有するプランテーション経営者であり、奴隷の女性サリー・ヘミングスとの間に子供がいたことが明らかになっている。

独立後に発布された合衆国憲法では、(人口によって議席が配分される)上院における北部と南部の均衡を保つため、「黒人奴隷は頭数の5分の3を人口として計算する」と定められている。ともあれ、オハイオ側以北での奴隷制が禁止されるなど、奴隷制は縮小傾向にあった。煙草の農地は多作によって荒廃し、プランテーション自体が経営方針の転換を迫られていた。そんななか、イーライ・ホイットニーによって綿繰り機が発明され、綿花が一躍南部の主要作物となる。綿繰り機によって綿花を加工するスピードがあがった分、収穫のためにより多くの奴隷が必要とされるようになった。

1807年にはイギリスで、翌年にはアメリカで、奴隷貿易が禁止される。禁止されたのは、あくまでも奴隷制ではなく奴隷貿易であり、このあとも密貿易が横行した。また、イギリスは密貿易の取り締りという名目で派兵することによって、西アフリカの制海権を得ることに成功している。奴隷貿易の廃止が良心的なアボリッショニストの努力によって成し遂げられたのは確かだが、国家としてのイギリスはそれを奴隷貿易から植民地経営というより効率のいいシステムへ移行するチャンスと捉えたのである。

後半は、ジュリアス・レスター奴隷とは』などから、奴隷の証言を引用し、アメリカに上陸したあとに奴隷たちを待ち受けていた過酷な経験について話した。競売台、別々に売られていく奴隷の家族。売られるのがいやで子供を殺してしまった母親(トニ・モリソンビラブド』にも描かれている)。夜明けから日没まで働かされ、ノルマに達していなければ鞭で叩かれる毎日。奴隷たちは主人の名前で呼ばれ、主人が変われば名前も変わった(マルコムXが未知数を表すXを名字にしたことを想起)。それでも、奴隷たちは「日没から夜明けまで」の間に、スピリチュアルをはじめとする自分たちの文化、生きた証を残した(G・P・ローウィック『日没から夜明けまで』など参照)。

« 2014年4月27日(日) | トップページ | 2014年4月29日(火) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73760/59557808

この記事へのトラックバック一覧です: 2014年4月28日(月):

« 2014年4月27日(日) | トップページ | 2014年4月29日(火) »

最近のトラックバック

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31