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2014年4月13日(日)

アルプスの少女は意地。

ソロモン・ノーサップ奴隷体験記を原作に、イギリス出身の黒人映画監督スティーヴ・マックイーンが指揮をとった映画『それでも夜は明ける』(12 Years A Slave、2013)を見た。ニューヨーク州サラトガで自由黒人として家族と幸せな生活を送っていたソロモン・ノーサップは、騙されて拉致され、奴隷として南部に売られてしまう。南部における隷属生活は12年に及んだ。映画の134分という時間は、観客にとっては十分に長くても、奴隷としてすごした12年間を描くには短すぎるかもしれない。実際、北部での生活に関する部分などがごっそり削除されているにもかかわらず、12年を2時間あまりに圧縮するのは難しい作業だったに違いない。

それでも、映画が12年という時間の長さを感じさせるのは、急な展開のなかに挿入される、ほとんど変化のない、長回しのシーンのおかげかもしれない。例えば、首をつられて足のつくギリギリのところで放置されたノーサップが身をよじるシーン。主人が助けに来るまで、仲間の奴隷たちもほとんど手出しができず、時間ばかりがすぎていく。ノーサップの12年間はほとんどがこのような、救いのない生殺しの日々だったろう。そして、自由黒人のノーサップは友人に身分を証明してもらうことで、隷属状態から逃れることができたが、奴隷たちのほとんどが夜明けを見ぬまま死んでいったのだ。

一方で、強い印象を残すのが、奴隷制を担う白人たちを蝕む狂気。自ら手を下すことを嫌って、ノーサップにパッツィーを鞭打たせたエップスが、鞭を奪い返し、「所有物をいたぶることは、この上もない楽しみだ」と言いながら暴力に耽溺していくさまに戦慄が走った。「楽しいこと」と自らに言い聞かせることによって、残虐な行為を正当化し、さらに残虐さの深みにはまっていく。そんな白人たちが見せる、歪んだ冷たい笑いを最近の日本でもよく見る気がする。傲慢でありながら、卑屈な。

明日の授業で学生に勧めよう。

ちなみに、映画の日本公開にあわせてだろう、原作の日本語訳『12 イヤーズ・ア・スレーブ』が、近日発売される。

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