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2013年12月14日(土)

多民族研究学会第21回全国大会@茨城大学。今回は不肖ワタクシが総合司会を務めさせていただきました。第一日目は招待を含め研究発表が3つと記念講演が1つ。充実した内容だった。

同志社大学の白川恵子先生の発表は、エドガー・アラン・ポーナンタケット島のアーサー・ゴードン・ピムの物語』のパロディであるマット・ジョンソンの小説『ピム』について。白いものを異常に恐怖する原住民の登場するポーの冒険小説が、アフリカ系アメリカ人の作家であるジョンソンによってどう読みかえられていくのか大変興味深い。とりあえず、ジョンソンの作品を読んでみなくては。

津田塾大学・大類久恵先生は、マルコムXのアフリカ訪問を中心に公民権運動における汎アフリカ主義の問題を取り上げた。国際的な連帯を求める視点が、第二次世界大戦後、アメリカの民主主義のなかに公民権運動を位置づけることによって失われていったこと、そのなかで例外的に国際的な視点を持ち続けていたのがネイション・オヴ・イスラムとマルコムXだったことなど、合点のいくことばかりだった。ガーナ訪問時のマルコムが、すでに現地に亡命していたアフリカ系アメリカ人らを中心とした歓待を受けたことなど、当時のマルコムの姿が具体的にイメージされて、刺激になった。

立教大学の三吉美加先生は、ニューヨークにおけるドミニカ移民の変容について語った。ドミニカでは独裁者トルヒージョの政策により、アフリカ的なものがハイチ由来として排除され、黒い肌の人たちですらも自分たちを黒人と見なすことに強く抵抗する傾向があった。しかし、こうした傾向はニューヨークで生まれ育ったドミニカ人移民2世の若者たちが黒人文化を受け入れることによって変化しつつあり、こうしたドミニカ移民の「黒人化」が本国ドミニカにも影響を与えている。一方で、それはドミニカ系の人びとの世代対立が深まる結果にもつながった。ニューヨークに在住時の体験などもふまえ、大変わかりやすく、身になるお話だった。

最後に四日市大学名誉教授で、黒人研究の会前会長の北島義信先生による、日本の植民地支配に抵抗した台湾先住民セディクの闘いを描いた映画『セディク・バレイ』をテーマとした記念講演。個人的には、先住民の持つ生死観 ― 死は終わりではなく、生と一続きのものとして理解される ― が非常に印象に残った。セディクには首刈りの習慣があり、映画のなかでも日本人警官が首を刈られたりするのだが、それは必ずしも憎悪の行為ではなく、生前の敵対関係を超えて、死後の世界で一体化するための行為であるという。日本語版DVDも出たそうなので、ぜひ見てみたい。

学会後は懇親会で先生方と旧交を温める。良き一日。

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