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2013年10月21日(月)

明治学院大学非常勤、第五回目。ハーレム・ルネサンスを動かしていた3つのベクトル ー 若い黒人芸術家によるフォークロア再評価、「白人並み」を求める黒人ブルジョワジーの「洗練」、白人パトロンの求める「野蛮」「未開」 ー のすべてを体現した音楽として、デューク・エリントンを聞いた。続いて、ハーレム・ルネサンスの文学。きら星のようには輩出された作家たちをすべて取り上げるわけにもいかないので、ぼくの好きな作家なかからフォークロアの再評価に深く関わった三人の作家を紹介した。ジーン・トゥーマーラングストン・ヒューズゾラ・ニール・ハーストンである。

詩と短編を組み合わせた美しい作品『砂糖きび』(1923)は、トゥーマーが放浪生活をしていた若い頃に強い印象を受けた南部の貧しい黒人の暮らしを描いたものだ。そこにはなくなっていくものに対する強い郷愁がある。その特異なスタイル(交流のあったシャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ・オハイオ』とも共通する)とも相まって、『砂糖きび』はハーレム・ルネサンスの先駆となった作品と言っていいだろう。

ヒューズについては、ハーレム・ルネサンス第二世代のマニュフェスト「黒人芸術家と人種の山」を読んだ後、初期の詩「黒人は多くの河を語る」を中心に、黒人にとって川が二重のメタファーであること(新天地を目指して「渡る」川/共に生活する川)、それは黒人のナラティヴにおける二つの傾向(コミュニティを捨ててより人種差別の少ない新天地を目指す/人種差別に耐えながらコミュニティにとどまる)につながることを示した。黒人同胞を嫌い、海外で成功したヒューズの父はまさに「川を渡った」人物であり、ヒューズはそんな父への反発を抑えることができなかった。この詩はそんなヒューズ少年が父のもとへ向かう汽車のなかで書いたものである。また、「黒人は多くの河を語る」では、黒人の歴史を象徴する川が血液の流れや魂に喩えられている。言い換えれば、「民族」が個人のアイデンティティの一部と捉えられており、個人が民族のために働くべきであるとする黒人ブルジョワジーの民族観を逆転させている。

最後にハーストンのバイオグラフィーを話したところでタイムアップ。来週は『彼らの目は神を見ていた』のあらすじから。

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