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2013年2月19日(火)

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千葉則夫『W・E・B・デュボイス 人種平等獲得のための闘い』(近代文芸社、2003)を読み終わった。20世紀のアフリカ系アメリカ人指導者W・E・B・デュボイスの長い生涯と思想的変遷を満遍なくフォローし、その全体像に迫る・・・こういう本が日本語で出ているとは、ありがたい。

デュボイスとえば何と言っても名著『黒人の魂』(1903)であり、社会学者として出発し、ブッカー・T・ワシントンとの対立を経て、ナアイアガラ運動、全米黒人地位向上協会(NAACP)を立ち上げる、20世紀初頭の動きに注目してしまう。明治学院の授業でも、デュボイスとワシントンの思想を比較して、それぞれの背景を示すというところで終わっている。ところが、デュボイスの思想はその後も変遷を続けており、95年に渡るその生涯は「才能ある10分の1」「アフリカ系アメリカ人の二重意識」といった言葉だけで総括することのできない、稔り豊かなものだ。

なかでも興味深いのは、デュボイスが政敵の主張を深化させる形で引き受けているように思えることである。職業教育を重視したワシントンに対して、「才能ある10分の1」に対する専門教育が必要だと主張したデュボイスだが、その後、大恐慌時代には、失業者が町にあふれるという時局を鑑みて、職業教育の重要性を認めている。また、マーカス・ガーヴェイのアフリカ帰還運動を非現実的だとして退けながら、のちにパン・アフリカ主義の先駆者となったことを考えれると、アフリカとの連帯という点ではガーヴェイの着眼を深化させたとも言える。

デュボイスの変遷には、時代の変化に対する柔軟な姿勢とともに、あらゆる可能性を探ろうとする貪欲な姿勢が表れている。そこにはカラーラインこそが20世紀の問題であり、何としてでもこの問題を解決しなければ人類の発展はないという切迫した思いがあったのだろう。他にも、共産主義との関係、日本に対する共感、NAACPやアトランタ大学内での微妙な立場など、興味深い点が多々あった。たいへん勉強になりました。

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