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2012年11月5日(月)

明治学院非常勤、後期第七回目。チャーリー・パーカーディジー・ガレスピー「ホット・ハウス」の映像を見ながら授業開始。前回見た『ストーミー・ウェザー』の音楽とぜんぜん違う、クールで鋭角的な音楽。なんとなく気難しくてとっつきにくそう。こちらのほうがジャズのイメージに近いという人もいるかもしれない。1930年代から40年代にかけて、ジャズは劇的に変化する。ビバップの登場だ。ビバップといっても、ビーバップ・ハイスクールとは直接の関係はない(遠くつながってはいる)。仕事を終えたミュージシャンたちが夜な夜なジャム・セッションを続けるなかで生まれた音楽。ジャム・セッションっていうのは腕試しだから、下手なヤツは淘汰される。わざと難しい演奏をして、ヘタクソなやつを追っ払うこともある。ビバップっていうのは演奏に参加することを前提にしているという意味では開かれているけれども、いざ入ってみると茨の道が待ち構えている。気難しいかんじ、とっつきにくい感じっていうのはそこからきているのかもしれない。でも、ビバップという言葉自体がそうであるように、この音楽には音による遊びっていう側面もあってね。ガレスピーの「ソルト・ピーナッツ」とか。日本のジャズ関係者も・・・(ここで巨泉の「はっぱふみふみ」、タモリハナモゲラ語相撲中継などに脱線)。

こういう怪しげな音楽が地下で胎動していたころ、政治の世界ではフランクリン・ルーズベルトが大統領になって「ニュー・ディール」と呼ばれる一連の経済政策を行っていた。1929年の株大暴落をきっかけとして、バブル景気と華やかなハーレム・ルネサンスの時代は終わり、失業者が施しを求めて列を作る不景気の時代になっていた。ルーズベルトの政策は公共偉業を起こして雇用を確保することで景気を上向かせようという、政府による市場介入を基本とするものだった。一方で、野放しだった投資に規制をかけたり、労働者の権利を確保するための法律を整備したりした。また、ルーズベルトは多くのアフリカ系アメリカ人スタッフをホワイトハウスに迎え入れるなど、エレノア夫人とともに、アフリカ系アメリカ人の地位向上に積極的だったことでも知られている。それまで、「リンカーンの党」共和党を支持していたアフリカ系アメリカ人が雪崩を打って民主党支持に流れたのはまさにこの時期。その意味でも、ニュー・ディールというのはアメリカ史においてエポック・メイキングな出来事だった。

ニュー・ディール時代のリベラルな雰囲気もあって、1930年代後半から40年代にかけて、アフリカ系アメリカ人の地位向上を目指す運動も今までにない広がりを見せるようになった。そこにはもう一つ、第一次世界大戦という要因もある。アフリカ系アメリカ人の歴史において、戦争は重要な意味を持ってきた。奴隷解放が争点となった南北戦争はもちろんのこと、独立戦争、第一次大戦、第二次大戦、ベトナム戦争、湾岸戦争やイラク戦争まで・・・アフリカ系アメリカ人にとって、戦争で戦うということは自分がアメリカ人であることを証明する行為だった。アフリカ系アメリカ人がアメリカ人であることを認めさるため、黒人兵は勇敢に戦い、ヨーロッパ戦線では友軍の兵士として白人兵と同じ人間らしい扱いを受けた。しかし、本国に帰ってみると、そこでは相変わらず人種差別、人種隔離が続いている。そのことがアフリカ系アメリカ人に自覚的な運動を促した。

Louisjoe22スポーツ界に例をとると、ボクシング・ヘヴィ―級チャンピオン=ジョー・ルイスや、黒人初の大リーガー=ジャッキー・ロビンソンといった人たちが人種の壁を破り、白人と同じ舞台で活躍した。しかし、二人とも白人の気持ちを害さないように細心の注意を払わなければならなかった。ジョー・ルイスは白人の女性に頼まれても、いっしょに写真を撮ろうともしなかった。彼の前に黒人でヘヴィー級チャンピオンになったジャック・ジョンソンが白人女性をはべらせて人種差別主義者の感情を逆なでした轍を踏まないようにしたのだ。彼の場合はドイツのマックス・シュメリンクとの対決で、全体主義ドイツに対抗する自由の国アメリカの代表という役割を担わされたこともあって、黒人にもかかわらず、アメリカ全体の英雄として奉りあげられていく。ジャッキー・ロビンソンをブルックリン・ドジャースに誘った当時のオーナー=ブランチ・リッキーは、いくら野次られ、嫌がらせを受けてもそれに耐え抜く資質をロビンソンに見いだした。実際、ロビンソンは苛酷な嫌がらせに耐え、球史に残る活躍を見せた。

このあと、スコッツボロ事件について解説したところで、タイムアウト。次回は公教育における人種隔離撤廃の動きなど。

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