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2012年4月23日(月)

明治学院非常勤、前期三回目。前回、『ルーツ』を見て、黒い肌のアフリカ人が奴隷狩りに手を貸していることに疑問を持った学生が多かったようなので、少し説明した。

リアクション・ペーパーを見ると、「同じアフリカ人なのに、同胞を捕えるなんてひどい」って思った人も多かったみたいだね。白人に手を貸して、裏切り者!ってね。でもね、まず言っとかなきゃならないのは、このころ、彼らには「同じアフリカ人」ってアイデンティティはないかったってこと。同じ地域に住んでいて、同じような肌の色をしていて・・・なぜ?って思うかもしれないけど、彼らは「アフリカ人」ではなくて、マンディンカとか、バンバラとか、ウォロフとか、それぞれの民族の一員として自分たちを捉えていたはずだ。

それはね、例えば、今のぼくたちが「地球人」っていうアイデンティティを持てるか考えてみるとわかりやすい。ぼくらは同じ地球に住んでいて、同じような姿かたちをした人間だ。でも、「地球人」っていう意識を持つことはほとんどない。日本人だ、韓国人だ、アメリカ人だ、白だ、黒だ、黄色だ・・・って、細かいアイデンティティにこだわっている。もしぼくらが「地球人」っていうアイデンティティを持てるとしたら、宇宙人が攻めてきた時かもしれないね・・・いや、もしかすると矢追なんとかがいっているように、もうすでにこの地球に宇宙人は来ているのかもしれない(笑)。でも、まあ、いたとしても、みんな意識はしていないから、遠い存在だね。そんなとき、ぼくらは「宇宙人とは違う地球人」としての自分を意識することはない。いや、宇宙人が攻めてきたってね、どうやって宇宙人と戦うのか、どの国が戦いの主導権をとるのかとかいってさ、なかなかひとつにまとまらないと思うよ。

このころのアフリカもね、同じ。白人はもちろん入ってきているけれども、大半の人は見たこともない、めずらしい宇宙人みたいな存在だね。そんななか、対立する民族が手を取り合って、アフリカ人としてひとつになる、なんてことはありえないね。一方、侵略しようとする側はね、それをうまく利用する。例えば、対立するグループの両方に、奴隷を提供するように働きかける。そうすると・・・奴隷は高く売れるからね、今度は奴隷を手に入れるために戦争を仕掛けたり、奴隷狩りをしたり・・・っていうことが起こってくる。白人は危険な奥地に入っていくことなく、奴隷を手に入れられるってわけ。

こういう対立を煽るようなことが行われたのは、アフリカだけじゃない。例えばさ、ネイティヴ・アメリカンもね、もともとは「インディアン」なんてひとつのアイデンティティがあったわけじゃない。それぞれ独自のアイデンティティを持ったグループがたくさんいたわけ。イギリスとフランスはそれぞれ別のグループを味方につけて、北アメリカでの主導権を争ったんだ。もっというと、幕末の日本だって、イギリスが薩長~新政府側、フランスが旧幕府側についた。そのころの日本だって、「日本人」っていうアイデンティティより、薩摩だ、長州だ、幕臣だっていうアイデンティティのほうが強かったかけでしょう。

だからね、奴隷貿易がはじまったとき、アフリカ人は団結して戦うべきだった、っていうのは今から見れば確かにその通りなんだけど、そうはいかなかったんだな。ひとつになろう、アフリカ!とはいかなかったんだ。

・・・今回はこのあと、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「400 イヤーズ」を聞いて、三角貿易、奴隷貿易の歴史などについて話した。詳しい授業の内容は、去年の日記を参照してください。

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