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2011年5月7日(土)

昨日の浜岡原発停止要請の知らせを聞いて、のやっていることは人気取りで信用ならんという人たちがいます。それももっともです。でも、それじゃあ、人気取りでない政治家がいるのでしょうか? むしろ、常に選挙を意識せざるをえない政治家が人気取りに動き出したときこそ、政治を動かすチャンスだと捉えたい。逆に言えば、普天間基地のときのようになったら、菅直人だけじゃなく民主党は終わりだよ、ということですが。政治家は信用せずに、利用すること。白馬に乗った王子様は現れません。

アフロ・ディズニー』、やっぱり面白い。大きなテーマの下に、重要なサブテーマがごろごろ転がっているような内容なので、忘れないうちに気がついたことをまとめておきたい。今日はブラック・ミュージックにおける「ずれ」と「揺らぎ」の問題。ちょっと長いけど、引用しておこう。

 ブラック・ミュージックをこれまでわたしは、「ずれ」と「揺らぎ」を許容する文化の産物である、と述べてきました。しかし、「ずれ」を許し、「それがどれくらい、どのようにずれているのか」ということを皆でやりとりするためには、その偏差を確認するための基準が設定され、共有されていることが前提になります。ブラック・ミュージックにおけるこの「基準」の一つは、曲が始まったら終わるまで、ずっとキープされ続ける、このリズムのグリッドの存在です。
 それは、ブラインドされても覚知されるほど正確で、つまりは基準=標準という役割も担わされている訳ですが、ブラック・ミュージックにおいては、それが実際にアウトプットされていない時でも、聴衆と演奏者の意識の中で等速の基準、すなわちビートが刻まれており、われわれはそのビートに合わせたり、時にはその裏側を取ったりしながら、ダンスを踊り、フレーズを紡いでゆきます。(中略)クラッシックにおいては、フレーズが止まると音楽の時間もいっしょに止まってしまいますが、ブラック・ミュージックでは、黙ってピアノの前に座っている時もビートは常に刻まれています(126-7)。

ぼくは以前、ブラック・ミュージックでは、一見ポリリズム的要素のないリズムでも、現行のリズムの裏に表には現れない先行する(流行遅れの)リズムが意識されており、二つのリズムの間の圧縮感が一種ポリリズム的な効果を生み出し、音楽に推進力を与えているというようなことを書き、こうした隠れたポリリズムをヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニアが主にアフリカ系アメリカ人の文芸に関して使った「シグニファイン」という言葉を援用して、「リズムのシグニファイン」と呼んだ(「変わっていく同じもの/『変わっていく』という同じもの」『越境・周縁・ディアスポラ―三つのアメリカ文学』)。さらに、完璧にリズムにのることのできない不自由な身体のリズムというものがある。ここで『アフロディズニー』を援用するなら、「リズムのシグニファイン」はそうした複数のリズムが潜在的にであれ常に存在する基準となるグリッド、「音楽の時間」を間に挟んで対峙している状態ということができるかもしれない。

また、一昨年1月のデヴィッド・バーン来日公演を見て、バーンの音楽を壊れたマリオネットに喩え、「音楽が終れば踊る人形はセルロイドのかたまりに戻る。これがフェラ・クティなら、音楽が終ってもグルーヴは日常の穏やかさの下で脈打ちつづけるだろう」と書いた(ひらげ日記2009年1月28日)。このときのバーンのパフォーマンスは素晴らしいもので、ぼくは彼をけなしたくてこんなことを書いたのではない。ファンクやアフロ・ビートのポリリズムを取り入れながら、それとはまったく違うバーンの音楽の特徴を、演奏が止まると「音楽の時間」も止まってしまう西洋音楽の伝統に連なるものとして捉えていたのだ。

もうひとつ、先日の日記でマイケル・ジャクソンの音楽が次第に匿名性を高めていったことについて、「ダンス・ミュージックの(中略)行きつくところは、そうした匿名性にあるのかもしれない」(ひらげ日記2011年4月9日)と書いた。このときは深く考えもせずカンで書いたのだが、それはつまり、マイケルの音楽が基準となるグリッドそのものに近づいていくということではなかったか。マイケルをはじめとするダンサーたちはそこから自由に距離を取りながら「ずれ」や「揺らぎ」を楽しむ(見せる)。だから後期になればなるほど、マイケルの音楽はダンス抜きではわかりにくいものになる。

こうしたさまざまな着想を結びつけるきっかけを、『アフロ・ディズニー』は与えてくれそうだ。

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