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2011年5月23日(月)

明治学院非常勤第三回目。前回のアンケートの結果を受けて、『ルーツ』の内容について少し考えてもらうことからはじめた。奴隷貿易はたしかに酷いことで、決して正当化できない。しかし、あなたがこの時代にイギリスやフランスに生まれていたら、果たして奴隷制と無関係でいられただろうか。奴隷貿易に関わっていたのは、決して悪の組織に属しているような人たちではなく、経済的にも成功し世間の尊敬を集めている「普通の」人間だった。キリスト教徒として、奴隷貿易の罪に悩む船長がそのいい例である。この時代の人たちも奴隷貿易が人道に反する罪であるとまったく気づいていなかったわけではない。悪いことだと知りながら、利益がある事業なのでやめられない。だからこそ、何かと理由をつけて正当化しようとする。

まわりの誰もが「奴隷貿易がなくなったら、イギリス(あるいはフランス)の経済は破たんする」と考えているとき、それでもそれは間違っていると言うのは大変なことだ。現代の日本でも、同じようなことがあるかもしれない。あなたはノーと言えるだろうか・・・そんな話をして、アレサ・フランクリンの歌う「アメイジング・グレイス」をかけた(正確には、かけようとしたが、CDプレイヤーの調子が悪く一部しか聞けなかった)。奴隷船の船長だったジョン・ニュートンが自らの行い悔いて作った曲である。

あとでアンケートを見たら、「奴隷制は悪いけど、生活のためにやっていたと思うと複雑」といった声が多かった。うーん・・・「生活のため」っていうのとはちょっと違うかな・・・生活のためと言うことなら、船長よりも船員頭スレーターのほうがあてはまる。しかし、スレーターに同情するような意見はまったく見られなかった。来週は『鏡の国のアリス』から、セイウチと大工の話を引用して、ちょっと煙に巻いてみよう。涙を流しながらカキを食べる大工のほうが本当に正しいのか?それは「偽善」と呼ぶべきではないのか?

「現代の日本でも」と言ったとき、ぼくの頭のなかには原発利権のことがあったのだが、アンケートには「派遣社員を使わざるを得ない会社があるのと同じですね」という声があった。さすが、彼らにとっては深刻な問題であり鋭い。奴隷や派遣社員(あるいは原発)のない社会はありうるはずなのだが、それらに依存した社会でノーを言うのはたいへんなことだ。他の会社が派遣を使って業績をあげているなかで、自分のところだけ使わないという決断をすれば、会社をつぶしてしまうかもしれない。みんなが空調を使うことをやめれば夏は少し涼しくなるかもしれないけど、一人でやめると熱中症で死ぬかもしれない。来週はこういう話からはじめてみよう。それでも世の中を変えるには?ぼくにも結論はない。

今回は『ルーツ』の続きを見たあと、奴隷貿易がどうして何百年も続けられたのかということについて話した。ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「400イヤーズ」を聞かせ(これも途中までしか聞けなかったが)、歌われている「400年」とは何のことなのか、また、もともとアフリカにいたはずの「黒人」がアメリカ合衆国だけでなくジャマイカや南アメリカにもいるのはなぜか、と疑問を投げかける。奴隷貿易がいかに儲かる商売だったか、三角貿易のしくみを図で説明した。そこには3時のお茶(中国のお茶、カリブ海の砂糖)、アヘン戦争(中国が麻薬に厳しいのはなぜか)、ガンジーの糸車(イギリスはインドやアメリカから輸入した綿で綿製品を作り、それをインドなどに輸出することで利ざやを稼いだ。だから、インドが独自の綿産業を発達させることはタブーだった。ガンジーが糸車を独立運動の象徴にしたのはそのためである)といった、イギリスとその植民地で起こったあらゆることが関わってくる。

ここまで話したところで今日はタイムアウトとなった。

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