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2009年6月28日(日)

2009_06_28tentenyu京のラーメン:「中華そば」@四条・烏丸『天天有』四条烏丸店
京都に限らず、鶏白湯ラーメンが注目されたのは最近のことだと思う。だとすると、一乗寺に本店があるこの店はその草分けと言うことになるだろうか。スープはクリーミーで野菜の甘みが出ている。甘くてクリーミーというとぼくの好みではなさそうなのだが、これが実に美味い!こんなラーメンもあるのか、京都おそるべし!・・・★★★★

黒人研究の会・第55回大会2日目。オバマに焦点をしぼった1日目に続いて、今日は自由研究発表の日。アフリカ系の文化・歴史を新しい視点から捉えた刺激的な発表が相次いだ。

日本女子大学の小泉泉さんの発表はトニ・モリソンソロモンの歌』のマジカル・リアリズム的傾向について検証するもの。モリソン自身は自分の作品が「マジカル・リアリズム」と結びつけて語られることを好んでいるわけではない。にもかかわらず、モリソン作品のには空飛ぶ人々のような超自然的エピソードが織りこまれている。モリソンはアフリカ系アメリカ人の文化的遺産を受けつぎ、そうしたエピソードを現実として描いている。だからこそ、彼女は「マジカル・リアリズム」と呼ばれることを嫌ったのだ・・・というような内容だったと思う。ぼくもマジカル・リアリズムが文化的遺産に基づいていることは確かだと思う。ただ、そうした文化的遺産を受けつぎながらも、伝統的な意味でのリアリズムに留まっているチヌア・アチェベのような作家もいる。その作品がマジカル・リアリズム的だと感じるためには、現実と超自然的な世界の間の境界線が曖昧になっている必要があるのではないか。マルケスしかり、ベン・オクリしかり、である。それぞれの民族が保持してきたコスモロジーのなかでは、現実と超自然的な世界の境界はむしろはっきりしている。マジカル・リアリズムは、植民地支配以降の現実が入りこむことによって、そうした境界が曖昧になった時代の産物、そうした時代に新たなコスモロジーを確立しようとする試みではないかと思う・・・そんなことを考えて、よせばいいのにまた質問に立ち、勝手なことを述べさせていただいた。

大島商船高専の石田依子先生の発表は海事史研究の立場から、17~18世紀の海賊船における黒人の存在を明らかにする今までにない意欲的なもの(ひらげは司会を務めた)。海賊のなかには貴族や国王と契約して他国の船を襲うものや奴隷貿易に関わるものもあったが、一方で「陸」とは違う秩序のもとに結束し、奴隷船から奪ったアフリカ人を仲間に加えるものもあった。存在を証明する確固とした証拠はないものの、マダガスカルにアフリカ人を含む船員たちによるユートピア社会「リバタリア」を建設したとされるジェイムズ・ミッソン船長のような人物もいたほどである。映画シリーズ『パイレーツ・オヴ・カリビアン』の世界は所詮絵空事と思っていたのだが、全くの想像の産物というわけでもないらしい。ちなみに、ミッソン船長の来歴が唯一記された海事誌A Genral History of the Robberies and Murders of the Most Notorious Pirates(1724)の作者チャールズ・ジョンソン船長は、英文学の分野ではダニエル・デフォーと同一人物であるとする説があるらしいが、海事史の分野では全くの「陸者」であるデフォーに詳細な海事誌が書けるはずがないとして否定されている。ぼくも『ロビンソン・クルーソー』のようなデフォーの作品の裏にあるのは海賊的な自由思想ではなく、フライデイのような「野蛮人」を「陸」の秩序につなぎとめようとする論理であり、同じ人物がミッソン船長のような人物を肯定的に描くことはないのではないか、という印象を持った(デフォーが作者であるとするジョン・ロバーツ・ムーアがどのような根拠でそういっているのか、わからないが)。ともあれ、こうした「陸」の秩序を無視した海賊たちの生き方は権力者たちに危険視されるようになり、1722年に海賊船の船長が大量に処刑されて海賊黄金時代は幕を下ろす。たいへん興味深い内容で、今後、さらなる研究を期待したい。

最後の発表は、黒人研究の会の重鎮である古川博巳先生と大谷大学の朴珣英先生による韓国版『黒人文学全集』についての報告。1961年に早川書房から出版された『黒人文学全集』は、日本初の黒人文学の翻訳全集として現在でもその価値を失っていない。日本版『全集』が世に出たころ、黒人研究の会に韓国から入会希望者があった。李秀光(イ・スグァン)というその青年の入会に関する短い記事が当時の会報に残っている。李氏はその後、日本の『全集』を参考に、黒人研究の会創設者の一人である赤松光雄先生の協力を仰ぎながら、1965年、韓国版『黒人文学全集』を完成させた。韓国版『全集』は作品の選択などにおいて日本版を意識してはいるものの、全く独自の編集で作られている。複数の人びとが翻訳者として名を連ねており、韓国にもこの当時から黒人文学に注目する文学者が少なからずいたことに驚きを隠しえない。韓国語訳のタイトルと作者名がハングルで書かれているだけなので、原作が同定できないものも多い。今回の発表中にも新たにいくつかの原題・作者が判明した。ちなみに、編集者の李氏の現在の消息は不明である。それも含めて、韓国における黒人文学研究の歴史がさらに明らかになることを願いたい。

発表のあと、長年にわたって黒人文学・文化研究に関わってこられた風呂本惇子先生が「黒人文学と私」と題して、黒人文学との関わりについてお話をされた。特殊潜航艇(神風特攻隊の潜水艦ヴァージョン)の出撃基地であった館山で迎えた終戦、新しい支配者であるアメリカに対する複雑な感情から説き起こし、シンクレア・ルイスの小説Kingsblood Royalや黒人霊歌との出会い、手に入れることさえ困難な洋書を快く貸してくれた黒人研究の先輩方との交流など、淡々とした口調で貴重なお話を聞かせてくださった。音楽家について、「名人になればなるほどどんどん意思が強く、エゴは弱くなっていく」と書いたが、研究者もそうなのかもしれない。素晴らしいお話をありがとうございました。

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コメント

>>古川先生

レスが遅れて申し訳ありません。
全国大会ではこちらこそお世話になりました。

10月のジンバブエ報告、12月のマイケル特集もよろしくお願いします!

ちなみにぼくはダンサーではないので・・・ムーンウォークはできません(笑)。自己流のウキウキ踊りならできますが・・・(笑)。

PS
京都の「東京ラーメン」、名前は聞いたことあるのですが、まだ行ったことがありません。次回京都に行くときには、ぜひ。

PS
思えば、マイケルが亡くなってから、ここ数週間でスリラーの映像を家や教室で10回以上上映しました。おかげで初めのほうの二人のセリフなどほとんど覚えてしまい、思わず家で口遊んだら、家人にあきれられてしまいました。
なお、12月の京都でのマイケルのシンポジウム、さきほど1件書き忘れました。当日は、平尾さんによる解説付きのムーンウォーク実演も大歓迎です。できる?

平尾さん、司会をはじめ、今回も黒人研究の会・全国大会の開催にご協力いただき感謝!55年目のこの大会、昨年同様にわたしは2日間、会場をうろうろして聞き逃したことも多かったので、この平尾さんのページであらためてみなさんの発表内容が確認できました。(そして、京都のラーメンの現状も再認識。京大近くの東京ラーメンはご存じ?まだあるのかな?一乗寺のラーメン街道そばに住んでいた時には、天天有よりはその傍にあって夜中に流れるレゲエを聞きながら角煮ラーメンを食べる店のほうが好きでした。)
ところで、今回も大会後に、いろんな方から反響がありました。オバマ関係のテーマは今後も追い続けましょう。外遊先のプラハやカイロ、ガーナでの演説、NAACPでの演説などもいろいろ面白いですね。12月のマイケルのシンポ、個人的に楽しみです!会場はアレンジします。ぜひいろいろ映像なども紹介してください!

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