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2009年6月7日(土)

演歌師にしてタレント議員第一号の石田一松が、さまざまな雑誌に記事を書いていることを知った。ネットで古本を検索してみたら、いくつか出てきたのでさっそく入手した。

ひとつは、左翼系総合誌『社会評論』。1936年6月〜8月号に、得意の「のんき節」を、「時事小唄のんき節(6月号は「のんきだね節」)」として、加藤悦郎のイラスト付きで寄稿している。6月号と8月号が売りに出ていたので、手に入れた(7月号も首都大の図書館にあったのでコピー済)。「夜の目も寝ずに選挙運動で/さぞや疲れたことでせう/幸い当選された方は/議会でゆっくり眠れます/へゝ のんきだね」「訓示々々と訓示が流行る/訓示は上から下にする/される者より する奴に/誰か訓示をしておくれ/へゝ のんきだね」といった政治家や当局を真正面からこき下ろしたネタの強烈さもさることながら、戦後社会党の委員長をつとめ立会演説会で暗殺された浅沼稲次郎ら社会主義者と肩をならべて、親ソ・反ファシズムの左翼系雑誌に書いていること自体が興味深い。天皇の信奉者を自認し、政治家としては三木武夫と行動を共にした一松だが、自主独立・再軍備反対といった主張はむしろ社会党や共産党に近いものがあった。『社会評論』への寄稿は一松が左翼にシンパシーを感じていたことの表れなのだろうか。一松の師匠に当たる添田唖蝉坊は社会主義者の堺利彦とも交流があったし、東京市電のストライキを執行委員長として指揮した熊本利夫は一松の同郷の親友だから、両者の間につながりがないわけではないのだが。

もうひとつは「勤労大衆の友」と銘打った20ページの小冊子『協力新聞』1946年5月号。詳細は不明だが、戦後間もなく何もない時代に娯楽に飢えた人々を癒そうと低予算で作られたものという感じ。「オデコにしわを寄せて考え込んでばかりいる」という読者からの批判に答え、劇作家の菊田一夫を編集委員にむかえてつくられた「読者慰安快感特集号」である。敗戦を振り出しとし「平和な明るい民主日本の建設」を上りとする「再建双六」、徳川夢声高嶋米峰(東洋大学元学長)の対談、ホイットマンの詩「きみのために、おゝデモクラシイよ」の翻訳、サトウハチロー作詞の「快感音頭」など、わら半紙をホチキスで止めただけの粗末なつくりながら、内容は盛りだくさん。そのなかで一松は、5人の作家が名作のパロディーをテーマにした舞台という設定で書いた連作「想ひ出の名作 廻り舞台」の第二景「歌謡曲と朗詠」で戦前の流行歌「あゝそれなのに」と石川啄木のパロディーを披露している。

Img307「今日もそろそろ米がない
 さぞかし政府ぢゃ今頃は
 お察しだろうと思ふたに
  あゝそれなのに
  それなのに怒るのは
 デモするのは当前でせう
外で聞こえる人の音
 演説ではないただの音
 とぎれとぎれの怒鳴声
  あゝそれなのに
  それなのに落ちるのは
 落選するのは当前でしょう
投票しようと出たけれど
 なぜか気に入る人がない
 やっぱり名もない方ばかり
  あゝそれなのに
  それななのに投票せよ
投票せよとは
  あんまり無理でせう
       ×
倒壊のおのれの家の白壁は
  我なきよしを書いて残さむ
はたらけどもたゝけども我政府
  辞職せずぢっと顔を見る
友が皆当選すると見ゆる日を
  洟をかみおへ爪を磨かむ」

記事の後には「四月四日」と日付が記してある。昭和21年4月4日といえば、戦後初の総選挙で一松が当選する一週間前のこと(投票10日、開票は翌日)。一松は『のんき哲学』のなかでも、中身のない言葉をがなりたてる立候補者を批判している。一方で、「落選するのは当前でせう」というフレーズは、自分が落選した時の保険のようにも感じられる。「はたらけどもたゝけども我政府/辞職せずぢっと顔を見る」という歌は、ぜひ現内閣総理大臣にお送りしたい。ちなみに、国会議員になった一松がその独裁的な手法を攻撃し続けたのは、他ならぬ現首相の祖父・吉田茂であった。

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コメント

>> σ(・д・はる)) さま
およっ!?久しぶり

投稿: ひらげ | 2009/06/07 20:06

o(- ̄*o))))...ウロウロ...((((o* ̄-)o

投稿: σ(・д・はる)) | 2009/06/07 19:30

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